『TUSK TUSK』という芝居の稽古をしている。12月に東京・池袋の豊島区立舞台芸術交流センター あうるすぽっとで上演。イギリスの若手女流作家、ポリー・ステナムがものした会話劇だ。突如姿を消した母親。取り残された3兄妹は、母の帰りを待ちながら子供だけの籠城サバイバル生活を始める。
登場人物はほぼ全員14~16歳。「子供」と呼ぶには精神的・身体的にも大人だが、「大人」としては扱われない危うい年齢だ。その危うさを描くためにも、戯曲の指定通り実年齢にこだわってキャスティングした。
なもんで稽古場には子供でも大人でもない、何だかよくわからないグニャグニャした生物が4匹、生息してワーワーやってる。連中とは妙にマニアックなフェチズムの話で盛り上がることもあれば、「コーヒー苦くて飲めないんですう」なんて聞かされてびっくりすることもある。よーいハイと手をたたけば、勢いだけで見るに堪えない演技をすることもあるし、やたら気の利いた渋い芝居を披露することもあって、やはり危うい。ワケがわからん。しかしその危うさこそがこの戯曲にとって必要。そして、いつも以上にダメ出しに緊張する俺がいる。それは俺のトラウマと関係があるのだ。