11月24日、ホワイトハウスでの記者会見で、フランスのフランソワ・オランド大統領(左)を抱きしめるバラク・オバマ米大統領。両首脳は「イスラム国」への空爆拡大で合意したが、会談をリードしたのはオランド氏で、オバマ氏はどこまでも受け身だった=2015年、米国・首都ワシントン(UPI=共同)【拡大】
米国は翌13日に日本人ジャーナリストの後藤健二さんらを殺害したとみられる通称「ジハーディ(聖戦士)・ジョン」を無人機による空爆で殺害したと発表した。これだけで終わっていれば、オバマ氏がインタビューで語った戦略目標が前進していることの「証明」として受け止められていたはずだ。しかし、この直後にパリで発生した同時多発テロにより、イスラム国がシリアやイラクに「封じ込められている」ことに疑問符が付いた。
イスラム国が両国の領域を支配することにより預言者ムハンマドの後継者が支配する「カリフ制国家」の再興を目指す路線から一歩踏み出し、アルカーイダのような国際テロ組織の顔を持ち始めたとすれば新たな戦略が必要となる。オバマ氏の発言は間が悪かった。
壊滅目指すクリントン氏
「われわれの目標はイスラム国を抑止したり封じ込めたりすることではなく、打倒し、壊滅させることだ」
来年の米大統領選で民主党最有力候補のヒラリー・クリントン前国務長官(68)はパリ同時多発テロから一夜明けた14日の民主党討論会で語った。オバマ氏の発言を意識していることは明らかだ。