記者会見で中国人民元のSDR(特別引き出し権)構成通貨入りを発表するIMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事(右)=2015年11月30日、米国・首都ワシントン(AP)【拡大】
フランスの金融大手、BNPパリバは、元が各国の外貨準備の10%を占めるようになれば、1兆1000億ドル(約135兆円)超の資金が元建て資産に流れ込むとみる。
市場では「世界第2の経済大国という中国の実情を踏まえ、元がマイナーな通貨の地位にとどまるのは難しい」(日本の大手銀行系シンクタンク)との見方は少なくない。野村証券の木下智夫チーフ・エコノミストは「為替や資本取引の自由化を達成できれば、元は遠い将来ドルを脅かす存在になりうる」と読む。
問われる覚悟
半面、中国の景気減速を受けて元をめぐる改革は壁に直面している。政府系シンクタンク、中国社会科学院の余永定学部委員は「資本規制を軽々に取り払うべきではない」と警告する。自由化を急げば資本の国外流出が加速し、中国の経済だけでなく社会の不安定化を招きかねないためだ。
景気減速に対応するため中国が金融緩和措置を連発する一方、米国が年内に利上げに踏み切り、資本の一層の流出を招きかねないとの懸念も改革に二の足を踏ませる。