【本の話をしよう】
前回『飯テロ』と本について少し書きましたが、内容がたまらなく美味しそうという理由で、初読時から忘れられず、今も折に触れ読み返してしまう本に『旅行者の朝食』(米原万里著)があります。
ロシア語通訳者だった米原さんのエッセーを読むと、その博識ぶりに驚かされます。翻訳とは異なり、通訳はその場での勝負。通訳者として依頼を受ける分野も多岐にわたります。辞書を引く間はありません。通訳できなくて黙りこくるというのは許されないのです。当然その会合に使われるだろう専門用語の予習は必須ですし、そうでなくとも、常日頃からいろいろな知識をインプットしていらしたのだろうなと思います。
そんな米原さんの食べ物分野の知識と、食をこよなく愛する彼女自身のエピソード満載の本書は、まさにためになっておなかもすくという、愛すべき罪深い本なのです。