串田和美さん(右)を理解するため、井上芳雄さん(左)は過去の作品のパンフレットを読みあさった。「でも分からない」「驚いてもらうことがいい刺激」と笑い会う2人=2015年11月19日、東京都渋谷区(寺河内美奈撮影)【拡大】
そして「生身の人間が演じる以上キャラクターを深掘りしたい」と、稽古はテーマに沿ったエチュードを軸に俳優の経験や素顔を拾い上げていった。「語り合い演じ合う中から摩擦して煙が立ち、炎があがるように時間をかけて作った」。さなかに起きたパリの同時多発テロも各人の心に影響を与えた。結果として登場人物には、俳優の個性や現代の世相が加味されつつある。
驚きの連続、戸惑い
井上は「見たこともないやり方で驚きの連続。戸惑いも不安もあった。でも演劇はどんなやり方をしてもいいのだと気がついた」と話す。演じるダンディは、どこからともなく現れ子供たちを助けて去っていく、正義のヒーローのような存在。だが「実は(シェークスピアの)ハムレットみたいな人。ぼんやり何かを考えながら自分の『締めくくり』を探している。登場人物は皆そうで、象徴的にその役目を担っている」。