米アイオワ州デモインで行われた政治集会で演説するドナルド・トランプ氏。相次ぐ過激な問題発言にもかかわらず、共和党の大統領候補指名争いで首位をキープしている=2015年12月11日(ロイター)【拡大】
「イスラム教徒が米国に入国することを全面的かつ完全に禁止する」「メキシコから不法移民が来ないよう、国境沿いに万里の長城を築く」といったトランプ氏の主張が支持者に受け入れられる素地を作ったのは、確かに共和党かもしれない。
科学者、フランケンシュタインは墓地の死体をつなぎ合わせて創造した怪物に、妻や友人を殺される。物語と違い、共和党の「怪物」は姿を消しそうにない。大統領選と同じ11月に連邦議会選を迎える議員たちは、トランプ氏の指名獲得でマイノリティー(少数派)の支持を失し、民主党に議席を奪われる事態を本気で懸念している。
イスラム恐怖症を利用
トランプ氏の支持に陰りが見えないのは、米社会にあるイスラモフォビア(イスラム恐怖症)によって入国禁止という分かりやすい解決策が受け入れられやすくなっているからだ。
オバマ氏は欧州での難民危機を受けて1年間で少なくとも1万人のシリア難民を受け入れる方針を表明し、暴力的過激主義者と一般のイスラム教徒を峻別する考えを強調している。オバマ氏と同じ民主党のクリントン氏の考えも同様だ。