米アイオワ州デモインで行われた政治集会で演説するドナルド・トランプ氏。相次ぐ過激な問題発言にもかかわらず、共和党の大統領候補指名争いで首位をキープしている=2015年12月11日(ロイター)【拡大】
理性で考えれば、イスラム教徒の排斥は信教の自由をうたう米憲法修正第1条に反し、移民で成り立つ多民族国家として「米国が支持するものではない」(ライアン下院議長)はずだ。
だが、パリ同時多発テロやサンバーナディーノ乱射事件の後では、オバマ氏がイスラム教徒に差別や偏見を持たないよう訴えれば訴えるほど強硬保守派は勢いづき、トランプ氏を支持するという悪循環に陥っている。
黄禍論に転じる危険性
「人種的偏見、戦時ヒステリー、政治指導の過ちによりこれらの行動は動機付けられた」
これはトランプ氏の行動を指したものではない。第二次大戦中のフランクリン・ルーズベルト政権による日系人強制収容に関し、米政府が1988年に公式謝罪した際の声明だ。
トランプ氏は強制収容そのものは否定しつつも、ルーズベルト政権が日系人など「敵性外国人」に対してとった政策と自らの政策に「何ら変わりはない」と主張した。