彼の見上げる高みは、どれほどのかなたにあるのだろう。バルセロナで開催されたフィギュアスケートのグランプリファイナルで、羽生結弦(はにゅう・ゆづる、21)は自身の持つ世界歴代最高得点を大幅に更新する330.43点で男子初の3連覇を果たした。
2位の世界王者、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)と37.48点差は新採点方式導入後の最大得点差となる圧勝。そのハビエルだってフリーでは羽生に続く世界で2人目の200点台をマークし、合計292.25は、わずか2週間前に羽生がNHK杯で史上初の300点台をマークするまで、パトリック・チャンが保持していた世界最高295.27に迫る高得点だったのだ。
すでにショートプログラムで羽生がNHK杯を上回る110.95で舞ったとき、勝負はついていた。ライバルのハビエルは「僕のやることは変わらないけど、あの得点は超えられないよ」。ソチ五輪ペアで金メダルのマキシム・トランコフ(ロシア)は「彼の演技を見ると息ができない」とツイートした。さらに2008年世界選手権3位のジョニー・ウィアー(米国)は、「涙で言葉がない」。