12月19日、首都ナイロビでの世界貿易機関(WTO)閣僚会議閉幕式に出席するロベルト・アゼベド事務局長(左)と議長を務めたケニアのアミナ・モハメド外相=2015年、ケニア(共同)【拡大】
TPP大筋合意が転機
米国がドーハ・ラウンドとの「決別」を突如鮮明にした背景には、今年10月の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の大筋合意がある。米国は「もはやドーハを必要とみていない」(先進国交渉筋)。
今月16日にはWTOの「情報技術協定(ITA)」交渉に参加する日米など約50の国・地域がデジタル製品201品目の関税を新たに撤廃することで最終合意した。先進国は当面、こうした有志国による特定分野の交渉や、2国間などの自由貿易協定(FTA)交渉に力を注ぐ方針だ。
ただ、FTAの対象にならないようなアフリカなどの最貧国は自由貿易の恩恵を受けられず、先進国との格差が拡大する恐れもある。