中国人民元のSDR(特別引き出し権)構成通貨入りを発表するIMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事。今回の決定の背景にはさまざまな意図が込められている=2015年11月30日、米国・首都ワシントン(AP)【拡大】
【国際情勢分析】
国際通貨基金(IMF)が11月30日、通貨危機などに備えた「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に人民元を加えると決定した。元はドルやユーロなどと並ぶ国際通貨として金融市場で信認を高めることになる。経済分野で影響力を強め、米国主導の既存秩序の切り崩しに動く中国の「歴史的な瞬間」(中国紙)となったが、欧米メディアはそろって、さらなる市場改革を促す契機にすべきだとの論調を打ち出している。
「全ての側面で異質」
SDR入りにより、ただちに貿易などで元決済が拡大するわけではないとの見方で専門家はほぼ一致している。12月1日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、元が世界の「エリート通貨」の仲間入りを果たしたことは「経済大国化した中国を象徴する」と評した。