中国人民元のSDR(特別引き出し権)構成通貨入りを発表するIMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事。今回の決定の背景にはさまざまな意図が込められている=2015年11月30日、米国・首都ワシントン(AP)【拡大】
そのうえでFTは、「中国経済改革の旅路」における「一里塚になる」としたIMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事(59)の言葉を引用しながら、採用が改革の完結を意味するのではなく、あくまで改革を促進させる契機になるべきものだと述べる。
ドルや円など他のSDRの4通貨は、全て外国為替市場で完全変動相場制を採っている。しかし中国では、政府が市場にコントロールを及ぼす管理変動相場制だ。8月の制度改革で外為市場での元の変動幅はやや高まったとはいえ、域外との資本勘定取引は規制されたままだ。
市場の法の支配に重きを置く他の4通貨の国・地域に対し、中国は「全ての側面で異質」(FT)なのは確か。今回の決定は、「自由な資本市場」という本来はSDR通貨に求められる要件について、将来の達成を“前借り”した判断だったといえそうだ。