中国人民元のSDR(特別引き出し権)構成通貨入りを発表するIMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事。今回の決定の背景にはさまざまな意図が込められている=2015年11月30日、米国・首都ワシントン(AP)【拡大】
WTO加盟の狙いと類似
FTは「IMFの決定は、習近平指導部内で、改革派の信用を守旧勢力に対して高める」として、SDR採用の成功が、政権内の路線闘争で改革派を勢いづかせる可能性を示す。
投資週刊誌バロンズ(電子版)は1日、2001年の世界貿易機関(WTO)への中国加盟のエピソードを紹介。加盟を推進した改革派の当時の朱鎔基首相(87)が、WTO加盟に、輸入障壁引き下げなどの改革を指導部が飲み込まざるを得なくなる「トロイの木馬」とする狙いを込めたと解説し、今回の採用も改革を後押しすると期待する。
元のSDR採用が国内政治に及ぼす影響に触れたFTに対して、1日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、中国が置かれたマクロ経済の側面から効用を述べる。
08年の金融危機後、膨大な投資を成長エンジンとしてきた中国だが、かつての高成長率は影を潜め、投資依存から、消費や生産性向上を重視する方向にかじを切る必要性に迫られている。