120センチ幅の織機で一枚一枚織った40センチ幅の織物を9枚つなぎ合わせている。糸の材料は和紙だったり、庭木をくくるシュロ縄だったり。別な作品では網戸の網や金属線まで使っている。
フランスでタペストリー伝統のゴブラン織りなどを学んだ野田さん。一番感じた違いは、「誰一人、同じ作品がない。その個性の強さ。(芸術の)伝統が長い分、それを破壊しようというエネルギーがすごく、まず、自分の世界を築くことが第一歩。それからどれだけ人を引きつけられるかだった」という。
会場の一角に、スギの木が6本立っている。その枝に架けられているのは、いくつもの「スカジャン」。スカジャンとは、1950年代に横須賀米軍基地に駐留していた米兵が、テーラーに注文して、ワシや虎、龍などを刺繍(ししゅう)させてお土産にしたジャンパーだ。
作品名は「六本木心中」。作者の田村友一郎さん(1977年~)によれば、スギの木は国立新美術館のある住所、六本木にひっかけ、アン・ルイスのヒット曲「六本木心中」(1984年)にもたとえて、「日本」と「アメリカ」が“心中”するイメージを連想させている。