人生は好きな役を選んでいい
先人たちの苦労のかいあってわれわれ若者は「自由」を謳歌(おうか)させてもらっておるが、実態は「競争する自由」の中にみんなまとめてほうり込まれてデフレ不況下でバトル・ロワイアル。全部できなきゃ難癖つけられる不自由さを生きている。
仕事も結婚も育児も親の介護も全部うまくやれなんてのは、無理だよ。向いてる人が向いてることをやって、できないことは身近な誰かに頼んで、それでいいだろう。
なんてことは、演劇界を見ていても感じることだ。劇団は解体され、俳優も演出家も個々人で活動し、都合よくプロデュースユニットで作品が作られる。自由というより、“使い捨て”だ。演劇における非正規雇用だ。若いやつには「ちゃんと演劇やりたいんなら、ちゃんと劇団か養成所に入れ」とよく言うが、なぜかみんな一人になりたがる。自ら進んでバラバラになりに行くのはバカだよ。俺がここまでやってこれたのは、自分のホームである劇団があって、みんなが俺を助けてくれたからだ。1人より2人、2人より集団の方が、絶対に強いんだ。