今月初め、ロシアの空爆による支援を受けたアサド政府軍が反政府勢力から奪還したホムスでは、アサド大統領の肖像が掲げられ、街には平静が戻ったかのようだ。ホムスは「アサド・ツアーズ」の目玉になるとみられている=2015年12月8日、シリア(AP)【拡大】
ロシアにとって中東で唯一の同盟国といっても過言ではないシリアは、かつて冷戦時代に大量の留学生を旧ソ連に送り、その多くがロシア人の花嫁を迎えて帰国している。花嫁の数は約3万人とされ、その子供たちも数万規模でシリアで成長している。つまり、シリアにはロシア系が多く、ツアーの需要はあるというわけだ。
変わった潮目
内戦の状況は、ロシアの空爆開始以降、展開が変わっている。ロシアはIS打倒を掲げて本格参戦したが、空爆の8割以上は反政府勢力に対して行っており、ロシアの支援を受けたアサド政府軍が大攻勢に転じている。シリア第3の都市、ホムスは今月初めにアサド政府軍が奪還し、現在、最大都市アレッポをめぐる激しい戦闘が繰り広げられているが、政府軍が優勢だ。
こうした状況を受けて、「まずアサド大統領の退陣がすべての前提」としていた米国も態度を軟化。「今は最大の共通の敵、ISを壊滅させるのが最優先」(ジョン・ケリー米国務長官)と当面のアサド政権容認に傾いている。来年1月下旬には、スイスのジュネーブでアサド大統領と反政府勢力による和平協議が行われる見通しだ。
「アサド・ツアーズ」の企画には、状況の変化を世界に印象付ける政治的な意図も見え隠れしている。(SANKEI EXPRESS)