ネズミの道とは関係ありません。嵐の前の静けさというような、渋谷へ向かう裏通り=2016年1月3日(長塚圭史さん撮影)【拡大】
見た目とは裏腹な世界
もちろんネズミは捕まえようとはしなかったが、足の悪い鳩やらスズメやら、少しでも隙があれば触れようとした。黴菌(ばいきん)がつくからやめなさいといわれても、納得がいかなかったのは、だって公園のベンチやら遊具やらにしても、夜間どれだけの黴菌をまとった動物たちがその上でたむろしているか知れたものではないのである。昼間は人間様が幅を利かせて、俺様の場所であるかのように振る舞っているが、夜になったらわからないのだ。糞(ふん)まみれになった足でじゃんじゃん鳩や鴉が闊歩(かっぽ)している可能性は十分あり得る。でもそういうことは見てないので知りませんと自らに嘘をつき、われわれは「見た目が大丈夫だから多分きれい」と誤摩化(ごまか)して、よいせと座って弁当など食らうのだ。