1月5日、ホワイトハウスで銃規制の強化について演説中に涙を拭うバラク・オバマ大統領。米大統領たるもの「俳優」でなくては務まらぬが、オバマ氏はなぜ「世界の警察官」を演じようとしないのか=2016年、米国・首都ワシントン(AP)【拡大】
見当違いの叱責
オバマ氏は昨年11月半ばのアジア歴訪からの帰路、大統領専用機内でホワイトハウスのスタッフたちを叱責した。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討作戦をめぐる広報戦略が十分なものではないという理由だった。米紙ワシントン・ポストが報じた。
11月13日のパリ同時多発テロを受け、ISを「封じ込めている」としたオバマ氏の発言が批判の的となっていた。ワシントン・ポストは「(対IS作戦の)戦略そのものが欠如しているとみられているのに、オバマ氏はより良く説明することが必要であると感じている」と指摘した。
サンバーナディーノ乱射事件を受け、オバマ氏は12月6日に就任以来3回目となるホワイトハウスの執務室からのテレビ演説を行ってIS掃討作戦の効果を強調し、「広報戦略」を自ら実践した。また、米国務省は連日、報道機関にメールを送り、掃討作戦に参加する有志連合の戦果を伝えるようになった。
だが、ISや中国がなりふり構わず活動できる空白を放置したのは誰か。その責任を感じることなく、自らの「戦略」をメディアが正しく理解していないといらだっているのであれば筋違いというものだ。(ワシントン支局 加納宏幸(かのう・ひろゆき)/SANKEI EXPRESS)