12-17とリードされた前半29分の同点トライは、彼の真骨頂だろう。敵陣ラックからパスを受けると、両脚にタックルを受けながら前進を止めず、横からきた2人のタックルをかわし、正面の2人の間を割ってインゴールに倒れ込んだ。ゴールも決まって逆転。優勝をぐいと自軍に近づけるプレーだった。3年生の真野は東海大に進む。前日10日の大学ラグビー決勝で帝京に迫った東海大は、楽しみな新人を迎えることになる。
敗れた桐蔭学園で目立ったのは、2年生のセンター、斉藤大朗(ひろあき)だった。決して快足を飛ばして相手を振り切るわけではない。だが、斉藤がボールを持つと、相手が止まっているかのように見える。相手の逆を取り、自ら空間を作り出し、無人の地を行くように。
かつて実力、人気とも最高だったセンターの先輩、平尾誠二が相手を抜くコツを「全力で走らないこと」と話していたことを思い出させる。来年も斉藤の「怪走」を花園で見たい。
だがここはまだ、スタートラインにすぎない。例に挙げた小倉は高校サッカーで帝京高校と同時優勝を飾ったが、その後のサッカー人生では故障に苦しめられた。松井は高校の頂点に立つことができなかったが、日米でアーチをかけ続けた。