やっぱり赤ちゃんが一番
そして、この野良はついに先日、ドアノブに体を伸ばしてしがみ付き、人間のように扉を手前に引いて、出入りできるようになってしまった。初めてその姿を目撃したとき、私は野良のたくましさにあきれながら、頼もしく思った。こいつは、気づいているんだろうか。飼い主の愛情が、あっという間に目減りしてしまったことに。「何があっても、猫たちへの愛情は変わらない」と豪語していた私が、今や、しゃあしゃあと「やっぱり赤ちゃんが一番可愛いね」などとうそぶいていることに。
目減りするとは知らなかったのだ。私、愛情というものは、無尽蔵に湧くのだと思っていた。対象が増えたらそのぶんだけ、自分の中に間欠泉のように吹き出すものだと信じていた。だけど、私は違うらしい。愛情の総量みたいなものが決まっており、そこから小分けして、ちまちまとやりくりをしていたらしい。ああ、なんと、みみっちいのだろう。薄情なのだろう。