2011年のエジプト革命で、ムバラク独裁政権を崩壊に追い込んだ大規模デモが始まってから25日で5年。軍司令官出身のシーシー大統領は、ムバラク元大統領の慎重な政治手法と一線を画し、露骨な強権体制を固める。敵対するイスラム組織、ムスリム同胞団の一掃作戦はヤマ場を越え、表向きの安定を取り戻しつつあるが、弾圧の矛先は民主化運動全般に拡大している。
独裁「ムバラク以上」
「刑務所の生活は最悪だった。詰め込まれた雑居房は、汚いトイレと粗末な暖房があるだけ。看守に毎日、警棒や水道のホースでぶたれるんだ」
北部アレクサンドリアの古い雑居ビル。パソコンソフト販売店で働く活動家のムハンマド・ホスニさん(38)は、デモ規制法違反に問われて服役した1年間をこう振り返った。昨年9月の大統領恩赦で釈放されたが、今も「悪夢」を思い出す。
デモ規制法は、革命を生んだデモを許可制にした、いわくつきの法律だ。軍事クーデターで、同胞団政権を追放したシーシー氏主導の暫定政権が13年11月に施行した。ホスニさんは、軍の権限強化に反対する若者グループのデモに参加、施行2日後に逮捕された。