日本市場から撤退する米国・フォード社の販売ディーラー=2016年1月26日午後、東京都世田谷区(春名中撮影)。※一部画像処理しています。【拡大】
米自動車大手フォード・モーターは25日、今年末までに日本市場から撤退すると発表した。“アメ車”ブームなどで1990年代には2万台以上を売り上げることもあったが、昨年の販売台数は4分の1程度まで落ち込んでいた。撤退に踏み切った背景には、商品やブランド力を強化する日本車やドイツ車との販売競争で劣勢が続いていたことに加え、フォード全体の世界戦略がある。
ピークの4分の1
フォードは日本とインドネシアからの撤退発表に際し「競争力を維持できない地域で、収益性が見込めない事業から積極的に撤退する方針を進めている。経営資源を他の市場へ集中させていく」とコメントした。
日本では年内に約50の販売店を閉鎖し、輸入と販売を停止する。日本で行っていた製品開発も他国の拠点に移す。日本法人の従業員約290人は解雇される見込みだ。
フォードは日本では96年に過去最高となる2万244台を販売した。だが、ここ数年は5000台以下で低空飛行が続いていた。
業界関係者は「アメ車やSUV(スポーツ用多目的車)のブームで好調だった頃から変わらずやってきたが、お客さんも他社も変わったため」と指摘する。