マラッカ海峡に沈む夕日を遮るようにそびえる建設中の中国人目当ての巨大マンション=2016年1月8日、マレーシア・マラッカ(田村秀男撮影)【拡大】
確かに訪問客の多くは中国人団体である。ホテル、小売店、レストラン、タクシーどれをとっても、英語よりも中国語が当たり前のように通じる。「もはや中国の一部も同然」の感ありである。
マレーシア政府もマラッカ市も中国の習近平政権が提唱する「一帯一路」構想やその推進機関となるアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立を奇貨として、中国資本の誘致政策を推進している。習政権もマレーシアに札束攻勢をかけ、国有企業の中国広核集団(CGN)に汚職容疑で揺れているナジブ・マレーシア首相肝いりの国家投資ファンドの電力などエネルギー資産を23億ドルで買い取らせた。首都クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道を中心に中国企業が大型投資する計画が具体化している。
ところが、現地紙を読んでみると、市長が釈明に追われていた。若者の間では「埋め立ては中国の軍港の建設ためではないか」「中国による新植民地主義を拒否する」との反発がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて広がっている。市長は、「われわれは一帯一路構想でいう『海のシルクロード』建設に期待している。中国からの直接投資は地元に繁栄をもたらすもので、利益に反する案件を認めるつもりはない」と強調する。クアラルンプール、ペナンなど他の主要地域でも同じ批判が渦巻き、要人たちが同じようなコメントを連発している。