勝って泣く田中史朗(ふみあき)を、敗れた大野均(ひとし)が抱く。大野の左手は田中の頭に、田中の左手は大野の腰に。2人の右手は腹の前で、がっしりと握り合わされていた=2016年1月24日、東京都港区の秩父宮ラグビー場(共同)【拡大】
バーンズに抱かれたステインの目から、涙が流れていた。南アで「モンスター」と呼ばれた男の涙が、彼らの「本気」を物語っていた。
≪意地と意地 世界クラスの激突≫
国内で、これほどの死闘が演じられ、これを見ることができる幸せを思う。だからこその満員のスタンドだったのだろう。
パナソニックと東芝の間で争われたトップリーグの決勝戦は試合開始から両チームの意地が激しく交錯した。開始早々、パナのセンター、JP・ピーターセンのジャージーが大きく裂けた。あれがその序章だったろう。W杯の南ア戦で日本が劇的逆転トライを決めた際、最後までタッチに押し出そうと食らい下がったのが、ピーターセンだった。
パナが先制すれば東芝は日本代表主将、リーチマイケルが堀江をなぎ倒すようにトライを奪い返す。さらにバックス参加のモールで東芝が逆転。パナも児玉健太郎のトライで追いすがるが、これはビデオ判定によってリーチ起死回生のタックルで児玉のスパイクがタッチラインに触れていることが判明し、トライキャンセルに。それでもパナは田中-堀江の日本代表ラインでゴール中央を破り同点。さらに後半、田中がステップを踏んで集団を抜け出すとパスを受けた堀江が倒れながらピーターセンにつなぎ、突き放した。