一方、捜査当局も渡航の動向に神経をとがらせる。シリアなどの紛争地には世界各国から戦闘員が多数流入。母国に戻りテロを起こす懸念があるためだ。パリで昨年起きた同時多発テロでも、首謀者らは欧州からシリアに渡り訓練を受けていた。捜査関係者は「テロの芽を摘むには『渡航させない』ことが極めて重要」と強調する。
2014年10月、ISの戦闘員になろうと渡航を計画したとして、警視庁公安部が私戦予備・陰謀容疑で北海道大生らの関係先を家宅捜索した。危険物所持などの違法行為はなく、私戦予備・陰謀容疑を初適用し旅券を押収することで渡航を食い止めた。
日本ではテロ情報の収集に有効な通信傍受に制限がある。戦闘員志願者を予防拘禁したり、帰還戦闘員を処罰したりする法制度もない。テロ対策で使える“武器”の整備は道半ばだ。
後藤さんらの殺害事件をきっかけに昨年12月、外務、防衛、警察など各省庁から人材を集め、テロ関連情報を集約する「国際テロ情報収集ユニット」が発足。地域別に情報を収集して官邸を中心に分析する。