国際原子力機関(IAEA)本部に到着した(左から)イランのザリフ外相、天野之弥(ゆきや)IAEA事務局長、欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表=2016年1月16日、オーストリア・首都ウィーン(AP)【拡大】
イランのザリフ外相と欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表は16日夜(日本時間17日早朝)、ウィーンで共同声明を発表し、核兵器開発疑惑に伴って米欧と国連がイランに科してきた制裁の解除を宣言した。米国とEUは海外資産の凍結やイラン産原油の禁輸などの経済制裁を解除した。イランは長年敵対してきた米国と交渉を重ね、緊張が緩和。孤立状態から国際社会への復帰を果たす。
イランが欧米など6カ国との昨年7月の最終合意に従って核開発の制限を履行し、国際原子力機関(IAEA)が16日に確認したことを受けた措置。イランの核保有を防ぐ外交努力が結実した。
資源大国イランにとって深刻だった原油禁輸は約4年ぶりの解除で、原油や天然ガス輸出の増加が見込まれる。欧米の制裁に伴い縮小した日本との取引も回復、官民を挙げた経済関係拡大の動きが加速しそうだ。
オバマ米大統領は制裁を一部解除する大統領令に署名。米財務省は核開発関連の制裁対象から400以上の個人・団体を除外した。米政府高官によると、イランの海外資産1000億ドル(約12兆円)が凍結解除される。