気になるのは、黒田東彦(はるひこ)日銀総裁や財務省の浅川雅嗣(まさつぐ)財務官の出方だ。黒田総裁は1月23日にスイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム年次会合(ダボス会議)で「資本規制が為替相場の管理に役立つ可能性がある」と発言し、中国の資本規制強化を肯定した。国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)認定条件である金融市場の自由化の約束に逆行するルール違反を北京に勧めるというトンデモ発言である。浅川財務官は別の場で、人民元のSDR通貨認定条件の自由化について「お経のようなもの」とうそぶいたと聞いた。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は1月26日付の社説で、黒田提案を引用しながら、「中国には資本規制が唯一の選択肢」と論じた。IMFも規制容認に傾いている。FTは中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)を支持し、元のSDR入りを容認してきた。それでも、自由市場原理を奉じ、グローバルな金融自由化を説く主力メディアとして、いくら何でも率先して中国の資本規制強化を言い出すわけにいかなかったのだろう。そこに黒田発言という好都合な「夏の虫」が飛びこんできたのである。