習近平国家主席や周小川中国人民銀行総裁は、日本の通貨・金融当局首脳による思わぬ援護射撃にほくそ笑んでいるだろう。現実に資本規制を強化し、公安当局まで動員して言論を統制している。上海G20では国際批判を浴びせられかねなかった。
黒田発言より2日前、ダボスでは為替投機で知られるジョージ・ソロス氏が「中国のハードランディングは不可避だ。これは予想ではなく、実際に目にしていることだ」と言い、人民元や香港ドルの暴落を見越した空売り攻勢の用意をほのめかせた。後で詳しく述べるが、ソロス氏発言は北京の党中央を震撼(しんかん)させ続けている。
ソロス氏発言に対する北京の反発と狼狽(ろうばい)ぶりはすさまじい。党支配下にあるメディアが競い合うように批判の大合唱である。国営通信社の新華社はソロス氏を「視力障害」と決めつけ、人民日報は「でたらめ」と罵倒した。