よくよく考えてみると何か変である。ソロス氏のような海千山千の投機家にとってみれば何の痛痒(つうよう)も感じないはずだ。
為替投機というのは、弾薬が必要だ。弾薬とは、投機対象の通貨建ての資産である。例えば株や国債などの債券、あるいは銀行融資など資金提供のルートがなければ、為替投機は事実上不可能だ。ソロス氏に限らず元投機を狙うヘッジファンドも肝心の元という弾薬を仕込んでいるわけではない。しかし、ソロス氏に賭けて大もうけをたくらむ投資家は他ならぬ中国国内にたくさんいる。資産を海外に移そうとする、国有企業や党幹部たちである。
習政権が恐れるのはそんな獅子身中の虫たちである。
黒田氏や浅川氏はそんな実情を知った上で、上海G20に臨むのだろうか。そして資本規制強化容認論を説いて回るのだろうか。それは、日本にとってどんな国益があるのだろうか。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)