人民銀行から商業銀行につぎ込む人民元資金は不動産開発向けなどに融資される。さらに預金となって銀行に還流し銀行は新たに融資するという「信用創造」が活発になる。人民銀行が資金を「1」供給すると、現預金はその5倍以上に増えている。その比率は「信用乗数」と呼ばれるが、最近のデータでは日本は「0.4」、米国は「1」程度である。中国のマネー増殖力はずぬけている。中国の現預金総額は15年末で21.6兆ドル(約2600兆円)、実に日本の2.8倍、米国の1.7倍に達した。
札を刷って兵器調達
以上の構造を念頭に置いた上で、グラフを見ていただこう。
米中のマネタリーベースと中国の軍事費の推移である。一目瞭然、中国の軍拡はリーマン・ショック後に加速している。上述の通り、リーマン後の米QEとともに、人民元のマネタリーベースが飛躍的に拡大し、それに引き上げられる形で軍事費が膨張している様子がわかる。マネタリーベースの5倍以上の速度で現預金総量が増え、しかもそのドル換算額は、元の対ドル相場管理のために安定している。膨らむマネーを背景に軍事費に資金が投入されるわけである。その元が国際通貨となれば、元を刷ってロシアなどから兵器を調達できるし、インフラ整備と称してアジアに軍事兼用の高速道路、港湾、鉄道を敷設できる。