日銀は10月末、追加金融緩和で長期国債の購入額を年50兆円から、国の新規発行額を大きく上回る80兆円に増やした。このため、政府の財政健全化が滞れば、中央銀行が政府の赤字を補填(ほてん)する「財政ファイナンス」とみなされ、将来的には金利が急騰するリスクも出てくる。
JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳氏は「予想外の追加緩和で市場の背後を突いたが、その直後に安倍首相に背後を突かれた。黒田総裁は誰とも顔を合わせたくない心境だろう」と分析する。
一方、再増税の延期で実質賃金のさらなる縮小が遠のき、企業や家計のマインドが改善すれば2%の物価目標に近づく可能性もある。
農林中金総合研究所の南武志氏は「うまく賃上げができれば再増税(17年4月)直前の16年度末にも2%に到達する可能性が出てくる」と予想する。日銀の一部幹部からも「再増税の延期は、足元の景気にはプラス材料」との“本音”も飛び出す。