記者会見する黒田東彦日銀総裁=21日、東京・日本橋の日銀本店【拡大】
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は21日、金融政策決定会合後の記者会見で、「2015年度を中心する期間」としていた2%の物価上昇率の達成時期について、「若干はみ出る部分はある」と述べ、16年度の一部も含むとの認識を明らかにした。エコノミストらは15年度内の目標と認識していただけに、今回の黒田総裁の発言を「事実上後ずれを許容した」と受け止めた。
決定会合では、原油価格の下落を受け、15年度の消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)の上昇率見通しを従来の1.7%から1.0%に大幅に下方修正しており、2%目標の達成時期に含みを持たせた形だ。その上で黒田総裁は、2%目標の実現が「進んでいなければ躊躇(ちゅうちょ)なく(金融政策を)調整する」と、追加緩和も辞さない構えを示した。
また、原油について、ドバイ原油価格で1バレル=55ドルを出発点に、16年度にかけて70ドル程度に緩やかに上昇していくとの想定を初めて公表。原油安の影響に関して、15年度の物価を0.7~0.8ポイント程度押し下げる一方、16年度は0.1~0.2ポイント程度押し上げると試算した。