政府が25日にまとめた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の政策大綱は、各分野で数値目標を並べるなど「攻め」の姿勢を強調した。だが、個々の対策は従来の成長戦略の枠を出ておらず、来年夏の参院選を意識して農家を保護する「守り」の対策が目につく。政府が掲げる競争力強化につなげるためには、実効性のある事業の具体化が不可欠だ。
政府は大綱でTPPの恩恵を日本経済や企業の飛躍に結びつけるとともに、輸入関税の撤廃などで打撃を受ける農林水産業の不安払拭を図る。政府は、緊急性の高い施策を平成27年度補正予算案に盛り込む。
こうした中で政府は「新輸出大国」「農政新時代」など、攻めの対策を強い姿勢でアピールした。だが、大綱に盛り込んだ約30兆円のインフラ輸出や1兆円の農産物の輸出など、数値目標の多くは、既存の成長戦略などで掲げたものが中心だ。個別の対策も10月の大筋合意前に取り組んできた事業の延長線にとどまる。
TPPを経済再生につなげるには、競争相手でもある他の参加国に先駆けて攻めの戦略を具体化する必要がある。達成に向けた道筋や成果の検証手法を明確にすることも課題だ。