
閣議に臨む(左から)菅官房長官、安倍首相、山本農相=22日午前、首相官邸【拡大】
政府は22日午前、平成29年度予算案を閣議決定した。安倍晋三政権が掲げる「1億総活躍社会」実現に向けた施策に重点配分し、一般会計総額は97兆4547億円と5年連続で過去最大を更新。一方、社会保障費の伸びを抑えつつ新規国債発行も減らし、財政健全化にも配慮した。28年度第3次補正予算案と合わせ、年明けの通常国会に提出する。
麻生太郎財務相は22日の会見で、「社会保障費の伸びを抑えて新規国債発行額も減らし、全体のバランスはできている」と述べた。
29年度予算案では、1億総活躍関連の施策に前年度比5千億円増の2兆9352億円(特別会計含む)を充当。柱の働き方改革は、同一労働・同一賃金などの非正規雇用の待遇改善や長時間労働是正を盛り込む。
保育の受け皿拡大や、返済不要の給付型奨学金創設などの施策にも重点配分。女性や若者の就労などを支援することで、少子高齢化による生産性低下などの問題を克服し、経済成長につなげる姿勢を打ち出した。
ロシアとの経済協力には35億円程度を充てる。日本周辺で挑発行為を繰り返す中国などへの対応強化で、防衛費は過去最大の5兆1251億円を確保した。
医療や年金などにかかる社会保障費は、高齢化に伴う自然増を政府目標通りに1400億円圧縮。約5千億円増の32兆4735億円とした。国の借金返済に充てる国債費は、低金利を見込み、前年度から微減の23兆5285億円とした。
歳入は税収を1千億円多い57兆7120億円と見込む。税外収入は外国為替資金特別会計の剰余金を最大限活用し、7千億円増の5兆3729億円。新規国債発行額は600億円減の34兆3698億円とした。
補正予算案は、災害対策などの追加歳出6225億円を計上。28年度の税収見通しは1兆7440億円下方修正し、国債を総額1兆8526億円発行する。