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【未年に翔ける】伊藤忠テクノソリューションズ社長・菊地哲さん(62)

ニュースカテゴリ:企業の情報通信

【未年に翔ける】伊藤忠テクノソリューションズ社長・菊地哲さん(62)

更新

 ■クラウド 米最新技術での普及が使命

 --昨年は企業や官公庁のIT(情報技術)投資が活況だったが、2015年の見通しは

 「昨年は官公庁や公共関係、銀行などの受注が好調だった。更新期だったのに加え、クラウドなど新たなサービスを導入したいというニーズも高く、業界を牽引(けんいん)した。今年もこの動きが続くとみている。業績が回復してきた製造業のIT投資も高まっている」

 --クラウド事業に注力している

 「米国では、官公庁の基幹システムにもクラウドを採用しており、国内でも利用が広がるとみている。ただ、日本は米国より2年遅れている。当社は、現地の最新技術をいち早く取り入れ、国内で普及させるのが使命と考えている。今春に最先端のクラウドを扱う『クラウド・イノベーション・センター』を立ち上げ、中核人材を育成する。数百人の技術者を米国に派遣し、新しい技術やサービスを積極的に習得させる」

 --クラウド事業は、外資系などの競合他社も多いが、どのように競争を勝ち抜くのか

 「当社の強みはコンサルティングから設計、構築、運用・保守、データセンターなど、全てを取りそろえている点だ。トータルでサービスを提供できる強みを顧客に訴求していく」

 --クラウド以外で期待している事業は

 「膨大な情報を活用するビッグデータやセキュリティー関連のビジネスはこれから伸びるとみており、こらの人材育成やサービスを充実化させる。今年はマイナンバーも始まり、地方が重要になるとみている。地方のシステム需要に期待している」

 --現状の経営リスクは

 「当社は製品の輸入が多く、円安が業績にマイナスに働いている。急激な円安は企業にとって困る。期初にドル買いなど行い、事前に対応していく」

 --中長期の経営目標は

 「来春に3カ年の中期経営計画を公表するが、営業利益率8%と株主資本利益率(ROE)10%は目指したい。売上高は毎年上がるが、利益率が上がらないのが当社の大きな課題だ。規模を拡大するため、M&A(企業の合併・買収)も検討している。ただ、利益率を重視する形で相手先を決めたい」

                   ◇

【プロフィル】菊地哲

 きくち・さとし 東大法卒、1976年伊藤忠商事入社。業務部長、執行役員、経営企画担当役員などを経て、2010年代表取締役常務執行役員。12年6月から現職。秋田県出身。

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