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書評
【書評】『2014年 世界連鎖破綻と日本経済に迫る危機』三橋貴明著
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今年は米国が債務上限問題に揺れ、中国ではシャドーバンキングの問題が表面化しました。本書は2014年の世界と日本経済を予測したものですが、こうした爆弾がついに破裂し、ユーロも巻き込んで、世界的な経済危機が訪れる可能性を警告しています。
一方、日本はアベノミクスによって急速に景気回復が進みましたが、消費税増税という最悪の決断により、再び激しいデフレに落ち込むと予測しています。
著者は、いま世界で経済不安を引き起こしている元凶はすべて同じものであるとし、一匹の魔物にたとえて説明しています。そしてそれが緊縮財政、増税、規制緩和、自由貿易など、本来はインフレを抑制するための政策を世界中で行わせていると説きます。
その結果、米国はデフォルト寸前の事態となり、ユーロも分裂間近、中国では爆発的に格差が拡大、韓国は外国企業の植民地のような状態になってしまったと分析しています。そしてその魔物がいま、日本に襲いかかろうとしています。それは、「国の借金を減らせ」という誤ったかけ声や公共投資の否定、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、電力自由化、構造改革の推進など、国民に聞こえがいい形で現れ、実行されようとしていると論じています。
では、この魔物の正体は何か? それはぜひ本書で確認していただきたいと思いますが、新年を迎えるにあたり、日本と世界の今後を見極めるために最適の一冊です。おかげさまで発売たちまち重版が決定しました。(徳間書店・1575円)
徳間書店 一般書籍編集部 明石直彦