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ポップでかわいく、どこか懐かしい アンティーク・ファブリック・ピンクス
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オリジナル生地をはじめ、ビンテージ生地など約3000種類ほどが並ぶアンティーク・ファブリック・ピンクスの店内=2014年9月24日、大阪市福島区(柿平博文撮影)
秋も深まってくると読書や物づくりに励む人も増えるのではないだろうか。1929(昭和4)年に建てられた大阪市福島区のレトロビル「メリヤス会館」の一角に生地店を構える「アンティーク・ファブリック・ピンクス」。店名通り、オリジナル生地から60年代のビンテージ生地までがずらりと並び、レトロでキッチュな雰囲気。心がうきうきするようなこうした布地を眺めていると、針と糸を持って何か作りたいという欲求が沸き起こる。
「独特の蛍光色が彩る60年代のビンテージ生地が好きだったことがお店を始めたきっかけです。アメリカンポップがテーマの生地は、どこか懐かしく、かわいい雰囲気があるんですよ」とデザイナーの那谷千穂さん。
店名にもなっているピンクをはじめ、紫やイエロー、グリーンなど、色鮮やかな色の洪水だが、目にはなぜか優しい色目でレトロな印象を受ける。
1960年代から70年代に作られたビンテージをはじめ、生地屋さんには珍しくオリジナルも手がける。
通常、布へのプリントは、シルクスクリーンでデジタル印刷する方法がほとんどだが、ピンクスでは最新技術の印刷機ではなく、昔ながらのロータリープリント機械を使用。そのためか、花柄や水玉、ストライプ、うさぎやクマなどのキャラクターを描いた生地も懐かしのサイケデリック調…。
2カ月に1度は必ず新柄が登場するといい、9月にお目見えしたばかりの「ときめきチェック」は、イエロー、ラベンダー、チョコなどの5色展開。ありそうでなかった色を合わせたチェック柄は、何を作ろうか、と創作意欲がかき立てられる。
針と糸を持つのはもとより、自分で生地の寸法を測って裁断したりするのが苦手、という初心者に最適なのがレシピが入ったキットだ。
巾着やポーチ、小物入れといったレシピが入り、約20種類のキットがそろっている。手作りに挑戦したいが本格的に作るのはちょっと、という人におすすめだ。
「レシピは難しい専門用語は使わず、初心者の男性でもわかりやすく作れるぐらいです」と那谷さん。また、ソーイングでは生地以外に飾りつけのボタンやレースといった付属品が必要なため、無駄な買い物を減らせるという利点もある。
訪れるのは、手作り好きな人はもとより、晩秋から年明けにかけてレッスンバッグやシューズケース、体操服入れやお弁当バッグなど、入学前にそろえておきたい学校用品を手作りしたいという人たちなど多彩だが、みんな他にない生地を求めてやってくるという。また、タンスの中に入れて眺めているだけで幸せ、というコレクターも多いのだとか。
ハンカチほどの大きさのアンティーク生地は1500種類、オリジナル生地などもずらりと並ぶ。かわいくポップなデザインの布は、食器の下に敷いてランチョンマット代わりにしたり、絵のように額に入れて飾ってみても楽しそう。
実際、2012年公開の邦画「ひみつのアッコちゃん」では、綾瀬はるかさん演じるアッコちゃんの部屋の装飾として使われていたそうだ。
ハンドメードが苦手という人のために、オリジナル生地で作ったバッグなど完成品の雑貨も取りそろえている。でも、せっかくの秋の夜長。針と糸を持ってちくちくと手で縫い、自分なりに手作りする時間を楽しんでみてはいかがだろうか。(文:木村郁子/撮影:柿平博文/SANKEI EXPRESS)
※価格はすべて税抜きです。