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「変わらない」良さ 高品質ブーツ レッド・ウィング

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「変わらない」良さ 高品質ブーツ レッド・ウィング

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レッド・ウィングの街にある直営店では、巨大な靴がシンボル=2014年10月15日、米ミネソタ州レッド・ウィング(緑川真実さん撮影)  【Fashion Addict】

 アメリカンカジュアル(アメカジ)の老舗、靴のレッド・ウィングは、1990年代に日本で一世を風靡(ふうび)しました。業務用ブーツのメーカーとして1905年に米中西部、ミネソタ州郊外の街レッド・ウィングで創業。赤い羽根をシンボルに、いまも米国内での生産にこだわり、高品質でリーズナブルな価格を維持して根強い人気があります。今年は日本初となる直営店を東京・青山に出すなど、アジア市場を強化。ブランドの「いま」を米国の本社と工場、青山の直営店に訪ねました。

 目分量でも正確

 国際線が就航するミネソタ州の玄関口、ミネアポリスから車で約1時間の街レッド・ウィング。その地名に由来するレッド・ウィングの工場では、約520人の職人が1日5000足の靴を作る。近郊から通うベテランの職人たちが、鮮やかな手さばきで作業を進めていく。靴ひもを通す穴を工機で素早く開けていく女性はこの道ひとすじ13年。「目分量で正確に開ける技術を持っています」(本社広報のキンバリー・バレーガさん)という。

 手作業、米国産

 工程は昔ながらの手作業とハイテク機器を併用。使用する革パーツの裁断は、昔ながらの型枠を使用し、8月にコンピューター制御による裁断機も導入。牛1頭分の原皮から、レーザー光線で瞬時に無駄なくさまざまなパーツを裁断していく。

 「革はネブラスカ州など米国産のみ。近くに革なめし工場を持ち、自社で全工程を扱うので、高品質かつリーズナブルな価格が実現できます」とオーナーのビル・スウィージーさん(61)。ミズーリ州にもある米国内の工場での生産にこだわりつつ、日本では展開していない業務用の一部を中国などでも生産、品質は米国と同じ基準を保っている。

 いまも主力は業務用。世界中の油田や製油所、建設現場で使用され、2008年のリーマン・ショック後の不況下でも需要は堅調だった。一方、ファッション用の人気は、日本で最初に火が付いた。その勢いを広げようと、韓国や台湾などで新店を続々オープン、アジアを攻略しようとしている。

 会議室も「現場」仕様

 街中にある本社の会議室は、床が作業現場のような鉄製。常に現場とともにあることを忘れないためで、役員室の表札の名前の横にはそれぞれの靴のサイズも記載されている。大企業でも非上場のまま。その理由をスウィージーさんは「常にお客さまとともにあるため、ウォール街とは距離を置きたい」と説明した。

 「見せる」青山店

 一方、東京・青山の直営店は1月にオープン。1980年代から日本では代理店などが扱い、タレントの木村拓哉さんがファンだったことなどから90年代にブームとなった。その流れが一段落した2000年代以降、日本市場を強化する中で2005年に日本法人が発足。初の路面店となる東京青山店は、実際に工場で使われている工機や工具、原皮を展示、資料館としての意味合いも兼ねる。

 例えば実際に工場で使われているミシンは、生ゴムを染みこませた3本の糸で靴の表面を縫い合わせている。「ゴムで縫い目の穴がふさがり、防水効果を発揮します」と日本法人のマーケティング担当、中嶋崇之さん。

 店内には1950年代に狩猟用として開発された、6インチ(約15センチ)丈に白ラバー底で日本で人気の高い「クラシックワーク」や、業務用として開発された「エンジニアブーツ」が並ぶ。いっぽうで、トレンドをちりばめたデザインも展開。光沢感のある革を使い、スーツにも合わせられる「ベックマン」、主にアジア地域で展開する「アイリッシュセッター」には明るめの革を使っている。

 トレンドに敏感な日本で最初に脚光を浴びたレッド・ウィングのファッション性は、アジア全域に広がる勢いを見せている。その中でも原材料や製法に妥協はない。「変わらない本質の良さを伝える」(中嶋さん)姿勢は、いまの時代にこそ求められている。(文:藤沢志穂子/撮影:蔵賢斗、フリーカメラマン 緑川真実(まなみ)/SANKEI EXPRESS

 ■レッド・ウィング・シュー・ストア東京青山店 東京都港区南青山5の4の29 信和ビル1階 (電)03・6450・5349 正午~午後8時。水曜定休。

 ※価格はすべて税込みです。

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