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【トレンドを着こなそう!】Vol.20 相手のために装うクールビズ 松屋銀座メンズバイヤー 宮崎俊一さんに聞く

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【トレンドを着こなそう!】Vol.20 相手のために装うクールビズ 松屋銀座メンズバイヤー 宮崎俊一さんに聞く

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紺のジャケット(アトリエメイド、5万円)に白いシャツ(フェアファクスの松屋オリジナル、1万3000円)、グレーのスラックス(スベラガンバの松屋オリジナル、1万9000円)、白のポケットチーフ(フェアファクス、4000円)と定番スタイルには、通年使えて持ち運びに便利な二ットタイ(アスコット、1万1000円)でTPOを意識して。ローファー靴(チーニー、5万7000円)ですっきりとまとめよう=2015年4月1日、東京都中央区銀座(三尾郁恵撮影)  もうすぐ大型連休、そしてクールビズの季節が今年もやって来る。5月から9月末まで、5カ月余りも続くこの期間を楽しく心地よく、かつリーズナブルに過ごすにはどうするか。東京・松屋銀座のメンズバイヤー、宮崎俊一(しゅんいち)さんは「自分が涼しいだけではダメ。取引先から同僚女性まで、接する相手への配慮が必要」と話す。素材やおしゃれ度が進歩した、今年のトレンドを教えてもらった。

 意外に長いクールビズ期間。まず心がけたいのは「キチンと感」だ。近年は軽くて涼しいなど、機能性の高い素材が相次いで登場。さらに今年は景気回復を反映してか、ピンクなど、明るいパステルカラーのコットンパンツも出てきている。「賢い人は上質のものを長く使う。プライベートでの着用も考えて、キチンと感とリラックス感、両方を兼ね備えた装いを工夫しましょう」と宮崎さんは言う。

 素材で清涼感

 装いのベースとなるジャケットはウール素材がお勧め。コットン(綿)やリネン(麻)と同じく吸湿性に優れているが、動物性であることで、湿気をはき出す機能が備わっている。夏用素材として、通常より強く撚った「強撚糸」を、冬用よりシンプルに織る「平織り」の生地で仕立てた松屋オリジナル「アトリエメイド」は、スタンダードである分、着こなしの幅が広がる。

 高機能素材では、東レ開発の特殊なポリエステル素材を使った松屋共同開発「ジャッツ」がユニーク。シャツとジャケットの中間のようなもので、平織り生地にプリントを施しており、手洗いできてアイロン不要、型崩れなしという優れもの。重さはシャツ1.5枚分の230グラムと、1キロ近くある通常のジャケットに比べかなり軽い。

 中に着るシャツは、襟裏に入っているプラスチック(ステイ)を外してゆったり着よう。「いい素材ならだらしなく見えません」と宮崎さん。ラコステがかのこ編み素材でドレスシャツ仕立てにした「ビズポロ」も着心地良くおしゃれ。

 ただ「半袖シャツは基本的におすすめできない」という点に注意したい。「ヨーロッパでは、商品がそもそも存在しません」と宮崎さん。「短パン」も当然ながらNGだ。どうも男性が、ビジネスシーンで肌を見せるのはタブーらしい。

 いいもの使い回し

 ネクタイはシルクのニットタイを試してみよう。幅6センチと細身で透け感があり「1年中使えます」と宮崎さん。何本かそろえ、ビジネスシーンではブルーやパープル、オフでは華やかな色を試してみよう。

 パンツもチノパンを何本かそろえたい。カーキなど落ち着いた色なら、ジャケットを合わせればビジネスシーンもOK。オフはピンクや白といった明るい色で楽しんでみる。

 定番スラックスと腰の位置がやや異なるが、その際に活躍するのが「レグロン」のゴムメッシュベルト。天然ゴムをレーヨンに織り込んだイタリア製の伸縮性に富む生地を編んだ作りで、編み目の隙間がベルト穴となる。フリーサイズなので、どんなパンツにも応用可能。「コスパ(コストパフォーマンス)の点でも優れもの。賢い男性は、いいものをうまく使い回します」と宮崎さん。

 小物で華やかさ演出

 オフではポケットチーフやショールを足す「クールビズ+サムシング」を工夫したい。

 ポケットチーフは1年を通じて、シルク素材の同じものが使える。一つ選ぶなら日本人の肌色になじみやすい黄色がお勧めだ。「青い模様が入っているものなら、手持ちのジャケットに合わせやすい。金ボタンだったら黄色地にもぴったりでしょう」。ポケットへの織り込み方で、華やかさの度合いが演出できる点も魅力だ。ショールはリネンの軽やかな夏用デザインが出てきており、ふんわり巻くことで華やかさを出せる。

 クールビズは、自分が会う人にどんな印象を与えているかに気を配る心の余裕も必要だ。気をつけたいのはバッグ。「肩掛けのデイバッグやショルダーバッグを使う男性も増えましたが、ビジネスシーンではカジュアル過ぎますね。スーツの肩の部分が傷むので、ちゃんと手さげのカバンを持ちましょう」と宮崎さんは話している。(文:藤沢志穂子/撮影:三尾郁恵/SANKEI EXPRESS

 ■みやざき・しゅんいち 1989年松屋入社、96年より紳士服バイヤー。独学でイタリア語を習得し、欧州での生地買い付けのほか、国内外で仕立て職人や縫製工場、生地メーカーと共同開発したオリジナル商品が人気を集めている。著書に「成功している男の服選びの秘訣40」(講談社)ほか。北海道出身。

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