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【拉致再調査】ロスで拉致シンポジウム 国際協力呼びかけ

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【拉致再調査】ロスで拉致シンポジウム 国際協力呼びかけ

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北朝鮮の人権侵害に関して講演する特定失踪者問題調査会の荒木和博代表(左)=2015年5月3日、米カリフォルニア州ロサンゼルス(森本昌彦撮影)  北朝鮮による拉致問題の早期解決を訴えるシンポジウムが3日、米ロサンゼルスで開かれた。約50人の在留邦人らを前に、拉致被害者の家族らが長年解決しない拉致問題の深刻さを説明。全ての拉致被害者が一日も早く帰国できるよう、国際的な協力を呼びかけた。

 在留邦人を通じて米国内での拉致問題の認知度を上げ、解決に向けた国際的圧力を高めるのを目的に、拉致問題を調べている「特定失踪者問題調査会」が主催。調査会の荒木和博代表は拉致問題を含む北朝鮮の人権侵害に関して講演し、「アメリカの友人らに伝え、国際的な世論を盛り上げてほしい」と話した。

 拉致被害者、横田めぐみさん(50)=拉致当時(13)=の弟、拓也さん(46)は、めぐみさん拉致事件の発生から37年が経過したことを紹介。拉致被害者家族らの苦しみが今も続いていることを明かし、「一人でも多くの人にこの問題が未解決、現在進行形の事件であることを発信していただければ、一日でも早い解決のための手立てになる」と語った。

 1984年に甲府市で行方不明になった特定失踪者、山本美保さん(51)=失踪当時(20)=の双子の妹、森本美砂さん(51)も長く拉致問題が解決しない状況を説明し、「歯がゆくて悔しくて仕方がない。拉致を認めた犯罪国家からどうして罪もない人を救えないのか」と涙ながらに訴えた。(ロサンゼルス 森本昌彦/SANKEI EXPRESS

 ≪「お姉ちゃん、諦めないで元気で」 めぐみさん弟、対北制裁再発動訴え≫

 横田めぐみさんの弟、拓也さんは3日、米ロサンゼルスのシンポジウムで、対北朝鮮制裁の再発動を訴えた。16年前の5月3日は米大統領が初めて公に北朝鮮による拉致事件に言及した日だった。当時のビル・クリントン大統領(68)は「日本はこの問題が解決するまで追及し続けなければならない」と述べたが、世論は今も追及し続けているのだろうか。

 何度も裏切られ…

 「拉致を認めておきながら、いまだに人質外交として苦しみを長引かせている」。拓也さんは北朝鮮を強く批判した。何度も裏切られ、うちひしがれた。

 めぐみさんが誕生する前、「拓也」という名前が用意された。生まれてくるのは男児だと思われたからだ。その名前を受け継いだのが拓也さん。もう一人の弟は哲也さんだ。

 「2人も弟が生まれよ」。めぐみさんは周囲に自慢して回った。姉が忽然(こつぜん)と姿を消した後、小学生だった拓也さんらは母、早紀江さん(79)と一緒に新潟市の海岸を捜して歩いた。疲れても、痛くても。食卓は明るさを失い、家族旅行もなくなった。そうした状況を「わがこととしてとらえてほしい」と言う。

 拓也さんにとって米国は思い出深い。9年前の4月、早紀江さんが米下院公聴会で「なぜ、助けられないのか、口惜しくて、悲しくてたまりません」と涙ながらに訴えた際、拓也さんは後ろで、北朝鮮が提供してきた拉致された直後とみられる不安げなめぐみさんの写真を掲げてみせた。

 ジョージ・ブッシュ前大統領(68)とも早紀江さんと一緒に面会し、大統領の言葉を聞き漏らさないよう、しっかりみつめた。この訪米で「家族はつらい思いをしている。でも一番つらいのは姉です」と言ったのを思いだす。

 試される国家

 集会では、特定失踪者問題調査会の北朝鮮向け短波放送の収録も行われ、拓也さんはめぐみさんに呼びかけた。「拓也です。お姉ちゃん元気ですか。40年近くも助けられずに申し訳ない。諦めないで元気でいてください。父も母も元気でやっています」。珍しく、声をつまらせ、涙をこらえた。

 「日本の領土、領海を侵犯してきた北朝鮮の犯罪行為。交渉は存在しない。日本国は要求し、応えなければ制裁を加えなければならないと思う」。拓也さんがいうように、国家が試されているのかもしれない。(ロサンゼルス 中村将/SANKEI EXPRESS

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