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笑いながら泣いている不思議な自分がいた 佐々木蔵之介、永作博美 映画「夫婦フーフー日記」

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笑いながら泣いている不思議な自分がいた 佐々木蔵之介、永作博美 映画「夫婦フーフー日記」

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「人間が必死に生きる姿から何かを感じ取ってほしい」と語る佐々木蔵之介さん(左)と永作(ながさく)博美さん=2015年3月23日、東京都港区六本木(宮川浩和撮影)  直腸がんにかかった妻と記した夫婦の闘病ブログなどをベースに、前田弘二(こうじ)監督(37)がユーモアたっぷりの愛情物語「夫婦フーフー日記」として映画化した。本作がこれまでの闘病物語とひと味違うのは、死んだはずの妻が突如、夫の前に幽霊として現れる点だ。妻はブログの書籍化にいそしむ夫の文面にもろもろけちを付けながら、わずか493日しかなかった結婚生活を夫と2人で丁寧に振り返っていく。

 夫を演じた佐々木蔵之介(47)は「絶望的でつらい話なのに、夫婦は希望の光に満ちあふれています。ただ単にどーんとウエットな物語とせず、夫婦が笑いながら生きていく。素敵な仕上がりになったと思います」と魅力を紹介した。一方、試写会で作品を鑑賞した妻役の永作(ながさく)博美(44)は「笑いながら泣いている、不思議な自分がいましたね。あと、時間の流れ方の速さがとても切なくて…。監督の演出でもあるのですが、時間は短く、かけがえのないものなんだよと、教えてもらった気がしました」と強調した。

 撮影手法にとまどいも

 作家志望のダンナ・コウタ(佐々木)は本をこよなく愛する女友達、ヨメ・ユーコ(永作)と出会い、17年目にようやくゴールインしたが、直後に妻の妊娠と直腸がんが一度に発覚。甘い新婚生活は一転、闘病生活へ突入した。ダンナは夫婦の闘病記としてブログをスタートさせ、ほどなく赤ん坊も生まれたが、ヨメは病状を悪化させ、あっけなく他界してしまう。そんなある日、悲しみに暮れるダンナにブログを書籍化する話が舞い込み…。

 佐々木は台本を読んだとき、作品がどのような撮影を経て作られていくのか見当もつかなかった。「この映画の醍醐味(だいごみ)は現在の夫婦、過去の夫婦、そして妻の霊と、いわば5人が同時に登場するところにあります。その結果、過去の自分たちの姿を現在の夫と妻の霊が見ているシーンなんて出てくるわけです。監督は僕らに『このシーンを撮るとき、実は夫と妻の霊はこちら側に立ってます』と説明し、後でグリーンバックで2人を撮影したうえで、それぞれ映像を合成していくんです。僕は撮影当初、結構、迷いましてね」。永作も「台本を読んだ時点では、頭の中に『?』がいっぱいありました。撮影後に合成した映像を見るまでは、台本が意図するイメージを頭に浮かべることは難しかったですね」と言葉を継いだ。

 苦しさや切なさ見えるように

 底抜けに明るく、パワフルなヨメだからこそ、本作はより個性的なものとなり、輝きを増したのだろう。永作にすれば、まるで「泣きながら笑ってみせろ」と命じられているような“理不尽な注文”でもあり、なかなか大儀だったのではないだろうか。「監督はヨメの闘病シーンで『(テンションを)上げて』『上げて』とよく指示を出しましたね。闘病シーンというものは、どうしてもテンションが下がってしまう。でも、私はヨメの高いテンションを保ちながらも、苦しさや切なさが透けて見える状態を作らないといけないのです。リアルにヨメという人は存在したわけで、とにかくテンションが下がりすぎないように意識しました」。苦笑いを浮かべる永作に対し、佐々木は「それは大事なことだと思います。僕はヨメの低いテンションに引っ張られないように注意していたんですよ」と懐かしそうに振り返った。5月30日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:宮川浩和/SANKEI EXPRESS

 ■ささき・くらのすけ 1968年2月4日、京都府生まれ。大学在学中から劇団「惑星ピスタチオ」の看板俳優として活躍。2000年、NHK朝の連続テレビ小説「オードリー」で注目。05年、演劇ユニット「Team申」立ち上げ。主な映画出演作は、06年「間宮兄弟」、10年「大奥」、11年「岳-ガク-」、14年「超高速!参勤交代」など。

 ■ながさく・ひろみ 1970年10月14日、茨城県行方市生まれ。テレビドラマ、舞台、映画と幅広く活躍。主な映画出演作は、2007年「人のセックスを笑うな」「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」、11年「八日目の蝉」、13年「四十九日のレシピ」、15年「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~」「ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判」など。

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