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「正社員に道」 働き方の多様化進む 派遣法改正案 衆院通過

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「正社員に道」 働き方の多様化進む 派遣法改正案 衆院通過

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衆院本会議で労働者派遣法改正案の採決前に退席する民主党議員=2015年6月19日午後(共同)  企業が派遣労働者を受け入れる期間の制限を事実上撤廃する労働者派遣法改正案が19日、衆院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、衆院を通過した。維新、共産両党は反対し、民主、生活、社民3党は採決前に本会議を退席した。審議の舞台は参院に移る。政府・与党は24日までの今国会の会期を延長する方針で、今国会で成立する見通し。改正案の施行は9月を予定している。

 改正案は今国会の重要法案の一つに位置づけられ、安倍晋三政権が進める労働改革の一環として、柔軟な働き方の実現を目指すことが目的だ。首相は本会議に先立って開かれた衆院厚生労働委員会で「正社員を希望する人に道を開くための法案だ」と強調した。

 派遣労働者は現在126万人(2004年6月時点)。現行は企業が派遣労働者を受け入れる期間について秘書や通訳など26の「専門業務」は無制限、それ以外の「一般業務」は同じ職場で最長3年が期限となっている。改正案では専門と一般の業務区分をなくす。派遣先企業が労働組合の意見を聞いた上で、3年ごとに人を入れ替えることを条件に派遣労働者を同じ職場に置けるようにする。

 一方で、派遣期間が無制限だった専門業務は3年で「雇い止め」になるとの懸念もある。このため改正案は派遣会社に対し、雇用安定措置として新たな派遣先を紹介したり、派遣先企業に直接雇用を依頼したりすることを義務づけた。全ての派遣会社を許可制とし、悪質な業者を排除できるようにする。

 改正案は昨年、厚労省の条文ミスや衆院解散で2度にわたり廃案になった。また日本年金機構の年金情報流出事件で審議が停滞するなど成立が危ぶまれていた。

 また、同じ仕事をする派遣労働者と正社員の賃金格差を是正するための議員立法「同一労働・同一賃金」推進法の修正案も19日の衆院本会議で可決した。今国会で成立の見通し。自公が推進法案の成立に向け協力するのと引き換えに、維新が派遣法改正案の採決に応じることで合意していた。

 ≪専門26業務 「3年後」配転なら雇用継続≫

 19日に衆院を通過した労働者派遣法改正案は派遣労働のルールを抜本的に見直す内容だ。賛否が渦巻き、現場からは不安の声もある。「ハケン」の働き方や処遇はどう変わるのか。Q&A形式でまとめた。

 Q なぜ法改正の必要があるのか

 A 安倍晋三政権が取り組む労働改革の一環で、終身雇用という日本特有の雇用形態にこだわらず、それぞれの生活スタイルに合わせた多様で柔軟な働き方を目指そうという発想が根底にある。また、秘書など26の「専門業務」は範囲が曖昧という問題を解消する狙いもある。

 Q 「曖昧」とは

 A 通訳が観光客に観光案内をしたり、秘書が来客者にお茶だしをしたりするのは本来の仕事ではないが、現場では柔軟に対応しているのが現実だ。改正案が成立しなければ、10月以降、お茶だしなどは本来の仕事ではなく違法とみなされる規定があり、派遣先が派遣労働者を直接雇用しなければいけない可能性もある。このため専門と一般の業務区分をなくし、派遣期間は一律3年というルールに統一した。

 Q 派遣労働者は「3年後」にどうなるのか

 A 派遣先が3年後も派遣労働者を受け入れたい場合は労働組合の意見を聞いた上で延長できる。ただ、同じ会社でも部署は変らなければいけない。東京支店の「庶務課」で3年間勤務した派遣労働者の人は、「経営戦略課」に異動することで働き続けることができる。

 Q それ以外の措置は

 A 派遣労働者の希望にもよるが、改正案は派遣会社に雇用を安定させる措置を初めて義務化した。派遣先への直接雇用を依頼したり、新たな派遣先の紹介や派遣会社での無期限に雇用したりするといった措置を取らなければならない。

 Q 野党は実効性が乏しく「雇い止め」が増えると批判している

 A 派遣先への直接雇用を依頼して断られたとしても、改正案には「その他、安定した雇用の継続を図るために必要な措置」を講じるよう派遣会社に求めている。厚労省も直接雇用が不調なら「雇用安定化の義務を果たしたとはいえない」と強調している。(岡田浩明/SANKEI EXPRESS

 ■労働者派遣法 1985年に制定された当初は、専門的な知識などを必要とする一部の業務に限り、労働者派遣事業を認めていた。制定以前は、派遣事業は禁止されていた。99年に対象業務が原則自由化され、2004年には製造業務への派遣も解禁。民主党政権下の12年改正では、労働者の保護が強化され、30日以内の短期派遣が原則禁止となった。

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