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じんわり、しみじみ 多彩な発酵料理 ブームの立役者 魅力を紹介
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砂糖を使わずに仕上げた発酵寿司。醤(ひしお)で味付けした甘エビに、アオサのペーストを添えた=2015年7月1日(塩塚夢撮影)
「塩麹」をきっかけにここ数年ブームとなっている「発酵食」。“醸造料理人”の伏木暢顕(ふしき・のぶあき)さん(40)は著書や教室、飲食店のコンサルティングなどを通じて、日本の発酵食文化を国内外に発信してきたブームの立役者の一人だ。多彩な“発酵料理”とともに、その不思議で深い魅力を教えてくれた。
伏木さんはもともとイタリアンの料理人。7、8年前にみそ蔵の息子である友人が甘酒と醤(ひしお)を持って来た。日本の醤は麹を熟成させた調味料で、しょうゆとみその起源とされている。「料理を20年以上やっていると、『これに漬けたらああなるな』というのは想像できる。でも、彼が持ってきた醤と甘酒を使ってみると、想像を超えたものが出来上がるんですね。微生物が作り出すその神秘性にはまってしまった」
これまでに累計25万部を超える11冊の著書を執筆。東京を中心に「発酵教室」を開催し、国内外1万人以上に発酵のメカニズムや料理方法などを教えてきた。一方で、沖縄の高級リゾート「はいむるぶし」のコンサルティング、宮城県大崎市や鳴子温泉での地元の食文化を生かした発酵メニューの開発と、発酵を通じた地域活性化にも携わる。
そんな伏木さんが提案する発酵料理は、調理方法も素材も実に多彩。まずは「発酵寿司」。砂糖を使わずに甘酒、酢、塩のみで味をつけた酢飯は、舌に残るようないやらしい甘さがなく、じんわりとしたおいしさ。ネタの片面だけに醤をつけることで、より深い味わいになっている。「甘みもうまみも、すべて微生物の作り出す自然な味わい。内臓への負担も少ないですので、普段忙しい現代人にはぴったりです」
切り干し大根を麹を混ぜた水で戻した「発酵切り干し大根の酢の物」、みりんとしょうゆを煮詰めたカラメルを敷き、麹に漬け込んだウナギの肝をしのばせた「三層茶碗蒸し」、塩辛と白みそのソースと、納豆としょうゆ、菜種油や野菜を合わせたドレッシングでいただく「バーニャカウダー」。「麹漬け海老真丈と筍の炊き合わせ」は、海老真丈のたねを麹に漬け込んで発酵させることでタンパク質が分解されるため、つなぎがいらないねっとりした食感に。ユニークなアプローチながら、いずれも穏やかでしみじみとした味わいが特徴だ。
「発酵はブームと言われていますが、発酵は古来から日本の食文化の中で受け継がれてきたもの。でも、今、蔵がどんどんなくなるなど、その文化が失われようとしている。現代的な切り口で未来に伝える橋渡しができればと思っています」(塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS)
国内では東京都渋谷区に長野県塩尻市とのコラボレーションによる発酵料理店『塩尻醸造所(仮)』をプロデュース。発酵教室の情報はkamose.co.jp/