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自慢の「熟成鶏」 こだわりの日本酒と 馳走いなせや
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京都・丹波の村田地鶏の芳醇なうま味と九条ねぎの甘みが絶妙な「地鳥のすき焼き」(1人前1800円、写真は2人前)=2015年6月22日、京都市中京区(志儀駒貴撮影)
6月でオープン7周年を迎えた「馳走いなせや」は、無濾過(ろか)の生原酒を中心とした珍しい日本酒の数々と、産地や品質にこだわり抜いた絶品の鶏料理が楽しめる日本料理のお店だ。ランチの時間帯は初玉子の親子丼や、夏季限定の冷製担々麺が地元のサラリーマンやOLらの人気を集め、夜になると日本酒好きの人々が遠方からも集まり、鶏料理で日本酒を味わい尽くす。既に烏丸御池エリアでは名の知られた名店で、観光客の利用も増えているという。
柳馬場通からお店をめざし、細い路地を入っていくと、足元には京都の町名を記した陶器のプレートが石畳のように規則正しく敷き詰められている。粋な演出に気持ちも盛り上がる。玄関から店内へと足を踏み入れると、広々とした空間が広がる。町家を改装したお店だけに、上品さや高級感も随所に。庭の眺めも素晴らしい。
お店の運営主体である「いなせや」常務の丸山聡さん(40)によると、もともとオーナーが、このお店に近い烏丸六角で約18年前から日本酒専門の居酒屋を経営している関係で「この立地での出店になった」(丸山さん)という。
日本酒にこだわるお店にしたのは、本当においしい日本酒を飲んだときの衝撃が忘れられないからだ。「酒蔵でしぼりたてを飲ませてもらったとき、これまでの日本酒とは全く別物といえるおいしさに衝撃を受けました」(丸山さん)
以来、その衝撃を多くの人に味わってもらおうと「オーナーか私が実際に酒蔵に出向くなどして、どこでどんな人が造っているのか熟知している京都や滋賀など約20の酒蔵の日本酒を、少なくとも常時30種類、提供している」と丸山さん。
そして、そんな日本酒に良く合う食材で、「14年ほど焼き鳥屋も展開しており、鶏の生産者もよく知っていた」(丸山さん)ことから、日本酒とともに鶏料理も提供。この組み合わせで高い人気を獲得した。
早速、自慢のメニューの数々をいただいた。まずは「鶏刺し」。完全無菌状態で飼育し、甘さやうま味が絶品と評される兵庫・丹波篠山の「高坂鶏」のむね肉やささみ、もも肉、レバーなどの盛り合わせだが「熟成が利く鶏」と丸山さんが言うだけあって、「他の鶏では味わえない濃縮されたうま味」(村上聡孝料理長)が堪能できる。
そんな高坂鶏と並ぶ品質とおいしさで知られる京都・丹波の村田地鶏を存分に楽しみたいなら「地鶏のすき焼き」だ。味に定評ある鶏肉は歯応えもよくジューシーで、そのうま味が九条ねぎの甘みと相まって食通をうならせる。
鶏以外の料理も豊富だ。「賀茂なすと旬菜の共地あんかけ」は、京都・綾部の河北農園の賀茂なすを炊き、そのつゆをあんかけにした逸品。なすのうえには鱧(はも)や万願寺とうがらし、エビ、ヤングコーン、マイクロトマトなどが乗っており、夏の訪れとともに賀茂なす独特の食感や実の細かさが楽しめる。
お昼は、親子丼や、つゆに地鶏のスープと白みそを使った夏季限定の冷製担々麺に加え、「いなせや御膳」もぜひ。先付に、鰹(かつお)や石鯛、穴子などのお造り、季節野菜の天ぷら、鴨ロース、鱸(すずき)の焼き物、さらにほうじ茶のプリンまで付いて1920円(税込み)とあって、こちらも人気が高く「予約がおすすめ」(村上料理長)という。
「富翁」や「英勲」など、他ではなかなかお目にかかれない無濾過の生原酒などは「開封後、それぞれに飲み時があるので、コース料理と同様、提供する順番が決まっている」(丸山さん)というこだわりぶり。地産地消と顧客目線のこだわりが人気の秘密のようだ。(文:岡田敏一/撮影:志儀駒貴/SANKEI EXPRESS)