機能性食品と健康食品の違い【拡大】
4月に始まった健康への働きを表示できる「機能性表示食品(機能性食品)」制度。消費者庁が届け出を受理した商品の中に、特定保健用食品(トクホ)の審査過程で「安全性が確認できない」と指摘される成分が含まれていた。企業が科学的根拠を示せば表示できる制度だが、消費者庁は「届け出の撤回もありうる」としており、早くも制度の欠陥を指摘する声が上がっている。(平沢裕子)
効果なら副作用も
指摘のあった成分を含む商品は、健康食品メーカー、リコム(東京都豊島区)が届け出たサプリメント「蹴脂(しゅうし)粒」。エノキタケから抽出した成分を含み、同社は「体脂肪が気になる方に適しています」との表示を検討。機能性食品として届け出、受理された。
同社は平成21年、同じ成分を含む茶飲料「蹴脂茶(350ミリリットル)」をトクホに申請。消費者庁から安全性評価の要請を受けた食品安全委員会の専門調査会が25年から審議し、27年2月に評価書案をまとめた。
トクホの申請では、この抽出物の成分には脂肪細胞の表面にある物質に働きかけて脂肪を減らす作用があるとしている。しかし、評価書案は、同様の作用の医薬品に動悸(どうき)や血圧上昇など心血管系や呼吸器系などに影響を与える副作用が報告されており、食品でも同じような副作用がある可能性があると指摘、「提出された資料では安全性が確認できない」と結論づけた。