整備新幹線の開業前倒しを求める議論が高まってきた。与党プロジェクトチーム(PT)は10日、北海道新幹線の新函館北斗-札幌間など3区間の前倒し開業を目指す政府への要望をまとめた。与党や沿線自治体では新幹線が地域にもたらす経済効果への期待が大きいが、実現には財源の確保に加え、早期開業が地域の活性化につながる道筋をどう示すかが課題となる。
要望では、北海道新幹線の新函館北斗-札幌間の開業時期は現行予定の2035年度から5年、北陸新幹線の金沢-敦賀間は25年度から3年、九州新幹線(長崎ルート)の武雄温泉-長崎間は可能な限り、それぞれ前倒しを目指すと明記。8月末までに国土交通省や財務省なども交えた政府・与党の作業部会を設置し、15年度予算の編成が本格化する年末までに結論を得ることを目指す。来週、関係各省に要望を申し入れる。
「一番難しく、大きな課題」(与党PT座長の町村信孝元官房長官)なのが財源の手当てだ。国交省の試算では、新函館北斗-札幌間の開業を5年、金沢-敦賀間の開業を3年前倒しするには5400億円の財源が必要。このうち2000億円は3区間で新幹線を運行するJR各社が国に将来支払う施設使用料(貸付料)を担保とした借り入れで調達できるが、残りの3400億円の確保が悩みの種だ。