16日、米ワシントンで、会談に先立ち握手する麻生太郎財務相(右)とルー米財務長官(共同)【拡大】
G20会合の舞台裏では、年内の設立が見込まれているAIIBを主導する中国の存在感が際立った。会合が開かれたワシントンでは、新興国で作るグループがAIIB設立を歓迎する声明を発表し、先進国からのAIIBへの参加がさらに増えるとの見方もある。
日米はAIIBに距離を置くことで一致しているものの、米国はG20の主要な議題である国際通貨基金(IMF)改革への指導力を発揮できない状況が続いており、中国の影響力拡大を阻止できないでいる。
「国際金融機関はインフラ投資促進のために、より大きな役割を果たすべきだ。われわれはAIIBの設立を心待ちにしている」。中国、インド、フィリピンなど新興国で構成される「G24」は、G20の開幕前にワシントンで財務相らによる会合を開き、AIIBを歓迎する声明を発表した。
G24が示したAIIBへの期待は、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)による融資に環境などに関するさまざまな基準がつけられ、意思決定も遅いことへの不満の強さの裏返しだ。
ロイター通信によると、これまで日米とともに参加を見送ってきたカナダも「積極的に参加を検討している」。AIIB支持の流れは強まるばかりだ。
しかし、AIIBから距離をとる日米の結束は固い。麻生太郎財務相とルー米財務長官の会談ではAIIBへの対応に長い時間を割き、AIIBの野放図な融資拡大を牽制(けんせい)することで一致。同行筋は「AIIB設立までの日程や幹部人事の構成まで、多くの重要事項が中国の独断で決められている」と、中国への不信感をあらわにする。