が、待てよ。小さいニュースにこまごまとコメントをつけている人たちを見ていると「気分の分散」を想像してしまうが、そもそも社会の気分はその性格上、そんなに分散されるものではないのか、とごく当たり前のことに気づく。
大きなヒット商品はない。一つのイベントに巻き込まれる人の数は少なくなった。テレビのドラマの大ヒットもない。大流行がない。いろいろな局面で「大規模」というサイズがずり落ちていく。
だからといって、これらのこまごましたコミュニティや動きに共通した要素が、この世から消えたわけではない。
共通要素を語るとき、「大規模」という言葉は似合わない。「普遍」がしっくりする。そう、社会の気分とは人の普遍的な部分に触れることによって生じるものなのだ。
「情報チャンネルが細分化したソーシャルメディア時代」という言葉は、この真実を忘れがちにさせている。
(安西洋之)
ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih