マイナンバー未提出の顧客に対して、銀行が住所変更などの手続きを断るケースが相次いでいるとして、金融庁が業界側に「柔軟な対応」を求める異例の通知を出していたことが26日までに分かった。提出は法令上義務化されているが、罰則はないため、制度のグレーゾーンが浮き彫りとなっている。
通知は2月24日付で全国銀行協会に出した。他の関係業界にも同様の要請をしたもようだ。
2016年1月にマイナンバー制度が始まり、銀行で開設した投資信託や証券関連の口座の住所変更などには税法上、マイナンバーを記載した届け出書の提出が義務化された。ただ、未提出でも取引は制約されないほか、番号を取得しないことによる銀行への罰則規定もないという。
金融庁は、マイナンバーを持参し忘れた顧客などに対して一律に手続きを拒否することは「顧客の利便性や、正確な顧客情報の把握の観点から望ましくない場合もある」と指摘。銀行が行政処分などを過度に恐れたり制度への理解が不足したりして、顧客本位の対応ができていない可能性があるとみている。
通知では、顧客の事情に配慮を要請。次の来店の際にマイナンバー提供を依頼することなどで、手続き自体は受け付けるといった「柔軟な対応を行うようお願いする」と呼び掛けている。