海底通信ケーブルの世界市場【拡大】
だが、この深さになると「親指で自動車1台を支えるほど」の圧力がかかる。これに耐えるケーブルや中継器の技術は、日本ではNECだけ、世界でもトップ3社にしかない。
また、組織が小さくなったことで、むしろ原田にはやるべきことが見えてきた。技術力の向上、プロジェクト運営や実行方法の見直し、発注後にキャンセルされた場合のリスク管理。雌伏から再挑戦に向けた周到な準備だ。
原田の予測は、早くも翌年の2003年に実現した。
同年初夏の日曜日の夕、東京都品川区の自宅でくつろいでいた原田に国際電話がかかってきた。米アラスカ州の通信会社GCI(ゼネラル・コミュニケーション)の担当者からだ。「NECを呼ぶことになるから、受注に向けた交渉の準備を進めておいてほしい」
NECは、GCIのアラスカから東海岸のオレゴン州までの総延長2500キロの海底ケーブル敷設計画に応札していたのだ。
この時点で受注の最有力企業となった。原田は内心の喜びを抑えながら交渉スケジュールなどを打ち合わせして電話を終え、そっと一人で祝杯をあげた。