海底通信ケーブルの世界市場【拡大】
気がかりは、中国の通信大手、華為(ファーウェイ)技術が参入の気配をみせていることだ。すでに中国・台湾間のケーブル敷設の実績もある。欧米の同業から技術者のヘッドハントも進めているという。
中台間は約200キロで、中核技術の一つである中継器は必要ない距離。深海の長距離敷設が可能となるには時間がかかりそうだが、それでも、原田は「中国は脅威だ」と戒める。
NECが世界の先頭を走る技術は、光ファイバーの大容量化だ。海底ケーブルは髪の毛ほどの細さのファイバーを8~12本束ねるが、差別化には1本当たりの伝送容量の増大が不可欠。現在は1本に25種の異なる波長を流しているが、これを3倍に増やせば、容量は2.5倍になり、計画全体の効率化を図れる。
韓国や中国の追い上げを受けて退潮が目立つ日本の製造業に、再挑戦が求められる分野は数多い。波乱に満ちたNECの海底ケーブル事業の年代記は、モノづくりのDNA、新興国の追随を許さない技術の優位性、市場を見通す力が、再挑戦への権利だということを教えてくれる。 =敬称略(林英男)